諸橋轍次博士生誕140周年記念コレクション展示「諸橋轍次 学問普及のために」(※終了しました)

諸橋轍次生誕140周年記念コレクション展示「諸橋轍次 学問普及のために」

  • 会期:2023年9月1日(金)~11月16日(木)(※終了しました)

学問の普及に生涯を通じて尽力した諸橋轍次。研究者の研究と育成に大きな役割を果たした静嘉堂文庫の整備や、学問の普及のために執筆した一般の人々が気軽に読むことができる書籍に関する資料を展示します。
諸橋轍次は2度の中国留学を経験することで自身の学問の基礎を固めます。そのいっぽうで、良い辞書が無いために研究を進めることに苦労します。留学から帰国後しばらくして、学者の助けになる「完全な原典によって完全な解釈を施した」大漢和辞典の編さんを決意します。大漢和辞典は自身のためではなく研究者の助けになる、という学問の普及に深く関連する動機から生み出されたと言えるかもしれません。
この他、展示では中国留学の援助者のひとりである岩崎小弥太との交流に関する資料も紹介しています。諸橋轍次は留学の資金を得るために自宅の売却を考えていました。しかし、現在の三菱グループ企業の基礎を確立した岩崎小弥太の厚意で三菱からの援助を受けることとなり、轍次は2年間の留学中不自由なく勉学に専念できたとしています。岩崎小弥太は東洋の文化財収集のために設立された静嘉堂文庫の理事長を努めていましたが、留学を終えた諸橋轍次に静嘉堂文庫の文庫長となることを願います。轍次は大学教員の勤務と並行して貴重図書の収集と図書の整理、リストの作成につとめ、貴重な資料を公共の文化財とする基礎を築き、学問普及に貢献しました。